大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和39年(ワ)9662号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判決理由】そこで、原告の右場所における転倒、負傷が本件コリー犬の挙動に基因するかどうかについて判断する。

(証拠)を総合すると、原告が本件現場で右手に牛乳をもち、左手で幼児を抱いたほか財布、靴墨をもって本件現場を通行していたところ、反対方向から被告宇野津外雄に連れられて歩いていた本件コリー犬が、同被告において首輪につけた皮紐を把持してこれを制御しているのにかかわらずこれを排して(本件コリー犬は体躯が大きく力も強いのに、被告宇野津外雄は七五才の老令で、本件コリー犬の突然の動きを制止する十分な力がなかったためと思われる)。うなり声をあげて飛びかかるような姿勢で原告および幼児の至近距離に接近して来たので、原告は恐怖の余り丸富士マーケット前大通り附近まであとずさりし、さらに向きを変えて逃げようとしたとき、つまずいて転倒し前記負傷をしたことが認められ、被告宇野津外雄本人尋問の結果中、右認定と抵触する部分は信用できない。もっとも(証拠)によると、概してコリー犬はおとなしい犬で、ことに本件コリー犬は血統書付の飼い易い犬で、よほどのことがない限り、人に向ってほえたり、飛びかかったりしないことが認められるが、それだけでは右認定を動かすことはできないし、他に右認定を覆す証拠はない。なお、右……の証言中、従来本件コリー犬がうなり声を出したりしたことがなかった趣旨の証言部分は、証人渡辺きよ子の証言(同証人が本件以後、本件現場の近くを幼児を抱いて通行していた際本件コリー犬が前記認定とほぼ同様な挙動をして同証人を恐怖させたこと)と照合し、犬一般の習性から考えると容易に信用できない。(篠原幾馬)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!